この件について対応をお願いします。
その件を担当していた人が異動になってしまったんですよ
他部門の人とやりとりをしていて、こんなことって無いですか?本音を言わせてもらえれば、
そんなん知らん。ちゃんと引き継いでおいてよ
なのですが、そう言っても解決しないので
- もう一度説明をしなおす
- 業務の一部をこちらで受け持つ
などすることもあるのではないでしょうか。
担当が当然入院したなどであれば仕方ないですが、引き継ぎが正しくされないことが当たり前になっている会社では、誰が責任者なのかわからない仕事が増えてしまいます。
今回は引き継ぎが正しく行われない会社で発生する ”負の資産” について紹介します。
引き継ぎの重要性
引き継ぎは何のためにするのでしょうか。
それは担当者が変わったときに、後任者が困らないようにでしょ?
そうですね。会社で仕事をしていれば、1人が同じ仕事をずっと続けていくとは限りません。
部署が変わる可能性もありますし、昇進して担当者からマネージャーのように役割が変わるなど様々な理由で担当業務が変わっていくのが一般的です。
部門内で完結する業務
仕事には1つの部門で完結する業務と、複数の部門が関係する業務があります。
部門内で完結する業務であれば、新しい担当者が誰なのかを決めて、元の担当者から新しい担当者へ引き継ぎを行います。
元の担当者が
- 退職してしまうのか
- 部署は変わらず業務だけが変わるのか
によって、どこまで細かく引き継ぐかなども変わることがあります。
退職や異動の場合には、業務を行いながら分からないことがあったときに尋ねるといったことが出来ないため、何が起きても対応出来るように新しい担当者に細かく引き継ぐ必要があります。
一方、元の担当者が部署に残る場合であれば、大体の業務を引き継いで、あとは実際に業務を行いながら細かい部分やレアケースの対応などを教えていくというやり方を取ることもあるでしょう。
複数の部門に関係する仕事
他部門とのやりとりなど、複数の部門が関係するような業務の場合は、新しい担当者への業務の引き継ぎだけでなく、担当者が変わったことを他部門に連絡する必要があります。
担当変更の連絡をきちんとしておかないと、
●●さんいますか?
●●は4月で異動になりました
えっ、この件誰に話せばいいの?
のように誰に頼めばいいのか分からずに困ってしまいます。
また、複数の部門が関係する場合は、たとえ元の担当者が部署に残っている場合でも、細かく引き継いでおく必要があります。
元の担当者がいつでもサポート出来る体制を取っているならいいかもしれませんが、役割が変わっていれば別の仕事を担当しているはずですよね。自分の業務か忙しい場合には、すぐに教えてあげられない場合もあるはずです。
とはいえ、そう言った事情は他部門には関係ありません。急ぎで仕事なのに
引き継いで間もないので、大目に見てくださいね
なんて言われて対応が遅くなったらイラッとしますよね。相手が他部門ではなく、取引先のような場合はなおさらです。
このように部門外の人が関係するような業務についての引き継ぎは、最低限相手に迷惑をかけない程度にはきちんとしなければいけません。
引き継ぎされづらい業務
しっかり引き継ぎをしておかないと残った人に迷惑をかけることになるため、引き継ぎが大切なことは誰でも理解しているはずです。
しかし、実際には ”引き継ぎが行われておらずに困った経験” は誰にでもありますよね。引き継ぎがされづらい業務には
・部門間の分担が曖昧な業務
があります。
更新や維持作業
開発中の商品のように ”まさに今進行中” といった業務については、比較的きちんと引き継ぎが行われます。
なぜなら引き継がないとすぐに誰かが困ってしまうからです。引き継ぎを忘れていたとしても、すぐに誰かが気づくために取り返しがつくという言い方が正しいかもしれません。
引き継ぎがされづらいいのは下記のよう業務です。
・維持作業
・更新作業
その他、発生頻度が低く不定期で発生するような業務
いずれも業務発生の頻度が高くないため、引き継ぎ期間のうちに実際に業務を行うことがなく、
こういうことがあったら、こういうふうに対応してね
のように、何となくしか引き継げていないことが多いからです。
引き継がれたほうも、実際に業務をやった経験があるわけではないので、「この引き継ぎ内容で十分なのか」が分からないため、引き継ぎからしばらく経って業務が発生したときに「あれ、引き継ぎされた内容だけじゃダメじゃん」と気づくことになるわけです。
部門間の分担が曖昧な業務
複数の部門が関係している業務では、どの部門がどこまでを分担するのかがはっきりと決まっていない業務があります。
部門間で分担が出来ていないと仕事できないでしょ
と思うかもしれませんが、担当者同士では業務分担がなんとなく出来ているのだけど、部門間で明確に分担の境が決まっていないということはよくあります。
同じように企画部門と技術部門が関係する ”商品仕様の決定” についても
- 企画部門から要求仕様を出して技術で検討する
- 技術からたたき台を出して、企画が確認する
のように、担当者によって、お互いがやりやすいように分担を決めていることがありますよね。本来は明確に部門間での分担が決まっていることが正しいんですけどね。
「どちらの部門がやるべきか曖昧な部分ではあるので、そのときどきで相談して決めましょう」
のようにお互いが責任者となっていたものが、引き継がれるなかで
「こちらの仕事はここまででいいんだ」
のように伝わってしまうことによって責任意識が薄れていくことがあります。
責任者不在の仕事による工数の増加
責任意識が薄れながらの引き継ぎを3回(3人)くらい続けると本当に責任者かいなくなります。
この件について対応をお願いします。
の反応として、引き継ぎを経ていくと
1回引き継ぎ:
細かい説明までは受けなかったけど、そういう仕事があるってのは聞いています。どう対応すればいいですか?
2回引き継ぎ:
その仕事ってうちの担当ですか?前任者からも聞いてないんですけど。
3回引き継ぎ:
何ですか、それは?
のようになってしまいます。
期限が決まっている業務であれば、「何ですか、それは?」と答えた相手に1から経緯を説明したうえで、何をしてもらいたいかを伝える時間はありませんから、結局こちらで対応することになりますよね。
一方の部門の引き継ぎが失敗しただけでもこのような事態になってしまうため、お互いの部門で引き継ぎが繰り返し行われた後では、1つの業務対応をするために
- その業務が何なのか
- その業務について誰に聞けばわかるのか
- 実際にどういう対応が必要なのか
の確認が必要になってしまうわけです。
本当に嫌になります。
ノウハウのようにその業務に関わった人や時間が増えていくに従って、効率化などが行われることを業務の資産化と呼ぶとするならば、関わった人や時間により業務にかかる工数が増えていくような仕事は負の資産と呼べるでしょう。
・引き継ぎをマニュアル化し、曖昧な部分の極力減らす
などして、負の資産を作らないように心がけるようにしたいですね。
まとめ
今回のまとめです。
引き継ぎの失敗によって責任者意識が薄れる
責任者不在となった業務は負の資産となって負担が増加する
今回は私の会社でよく見かける責任者不在の業務がどのように発生するかについて紹介しました。
過去の経緯も分からなくなり、そのときの担当も異動や退職をしているため、「この件は誰が対応しますか?」みたいなところから揉めるのは本当に時間の無駄だと思います。
これから引き継ぎをされるときは、責任者不在となる負の資産を生み出さないようにしていきましょう。
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